「いじめ」の構造と被害者の対応要領 なぜ人間社会はいじめを許容するのか

義務教育(高等教育)

イジメられる理由は誰にあるの?

イジメられる理由は「イジメられる」本人にあるのでしょうか。
世の中には「イジメられる方が悪い」と論じる人物がいます。
確かに、理由があるのならば改善することで「イジメ」を回避できます。
ですから、自己を守るためにも反省の余地を残すことは必要です。
「イジメ」の原因を相手(イジメる側)に押し付けるのでは、自己が取り組める課題や問題を棚上げしたに過ぎません。
もしも「イジメ」の原因が全て相手による過失(イジメられる方には理由がない)ならば、必然的な事象である「イジメ」は絶対に回避できないことになります。
それでは「イジメられる側」の人物は「イジメられる」人生を認めるしかありません。
「イジメ」の責任は「誰に」あるのでしょうか。
「イジメられる側」に責任を追求すると必ず反論されます。
「イジメる側」が絶対に悪であると。
もちろん、「イジメる側」は「悪」です。
人間は本性は「悪」なのですから。
そもそも「イジメられる側」に「イジメ」の理由があることは「ダメなこと」なのでしょうか。
「イジメる側」は「悪」なのですから、その価値観に基づき相手(悪の判断基準)を陥れます。
ですから、「良い人物」が「悪」の基準で「イジメ」の対象(こいつは悪いやつだからイジメても問題ないと悪い人物が考える)になることもあるのです。
「イジメ」の理由は「イジメられる」側にもあります。
「イジメられる側」が「悪い」から「理由」に繋がるのではありません。
例えば「煽り運動」では、加害者は利他的な理由を被害者に押しつけて危害を加えます。
「悪」である加害者が物事を判断する価値観に基づき「チンタラ前を走るな」とする理由から被害者に危害を加えるのです。
ですから、被害者にも「理由」はあります。
「チンタラ走らなければ」被害者は危害を被ることは無かったのですから。
加害者が身勝手に解釈した「理由」でも、被害者の危害に繋がる因果関係が具備されていることから「無関係」とは言えません。
「イジメ」も同じです。
世の中には「イジメられる側に理由」があることが「悪いこと」であると捉える風潮があります。
ですが、これでは「イジメ」は回避できません。
「イジメられる」本人が悪かろうと良かろうと、「イジメる側」の人間は「理由」を強引に作るのです。
煽り運転と同じように。
そのため、加害者が「どのような思考で理由をでっち上げるのか」その構造を知ることには意義があります。
近頃はロシアのウクライナ侵攻が話題になっていますが、戦争ですら大義名分による正当性の主張が必要なのです。
加害者側は「大義名分」を得るために「理由」を作ります。
そこに被害者の行為や行動の善悪は考慮されません。
ですから、加害者が「理由付け」する構造に着目しましょう。
加害者に翻弄されないためには、まずは加害者の思考を知ることが重要です。
まず、あなたが加害者だと仮定しましょう。
誰かを攻撃する際に意識することは何ですか。
質問を変えましょう。
あなたは軍師です。
敵数が自軍より多い相手、少ない相手、どちらを狙いますか。
敵が少ない相手を攻撃しますよね。
なぜなら、自己が被る被害(リスク)が少ないと予想されるからです。
イジメも同じです。
リスクを抑えて「イジメ」られる相手を見定めるのです。
そして、リスクが少ない相手とはどのような人物でしょうか。
それは、「普通」ではない人物です。
「普通」ではないとは、平均的な人間の特徴(内外問わず)から離れている人物です。
大多数の特徴と解離している度合いが大きいほどイジメられる確率は高くなります。
「普通」ではない人物をイジメる理由はリスクが少ないからです。
動物は似たような性質を持つ個体同士がコミュニティを形成する傾向があります。
つまり、「普通」でないことで「仲間」が少なく「報復」される可能性が低いと捉えられるのです。
さらに、自己と異なる性質を持つ個体を排除する理由はその個体が脅威にもなり得るからです。動物であれば異なる容姿は何かしらの感染症に罹患しているリスクを同種個体に懸念させる材料にもなりますし、人間であれば自己と異なる価値観の中で生きている人物はその言動を予測又は理解できないため奇妙に感じるでしょう。このような「感覚」が本能的な拒絶反応であると言えます。

著者
著者

誰しも経験があると思いますが、自分と合わないタイプの人間と共に行動をすると相手の喋り方や立ち振る舞いなど一挙手一投足に不快感を抱くと思います。この不快感は、自己と異なる性質を持つ個体を拒絶する防衛本能です。

そのため、自己と生存協定(仲良く)を締結することが難しい個体(自己と解離している度合いが大きい)は、脅威になり得るため淘汰しなければならない存在なのです。さらに、平均個体と比較して解離度が大きい個体にはその例外性故に仲間が少なく攻撃するには格好の的でもあります。
この生態系の中では人間も動物と変わりません。
人間だけが特別なのだとする考え方を改めるとイジメの構造もシンプルに捉えることができるでしょう。
イジメられる理由は「普通」ではないからです。
そして、「普通」ではない個体はマジョリティから「脅威」として認識され、また、攻撃する「リスク」が低いためにイジメに発展します。
さらに、事後的な段階(イジメのターゲットに選ばれた後)で加害者(マジョリティ)が定める「理由」(大義名分)を基にイジメられることになるのです。

マスメディアの存在がイジメ推進に加担する

著者の持論です。
根拠はありません。
しかし、マスメディアの存在がイジメを誘発しているようにも思えます。
イジメには「理由」があります。
外見や性格、学力や運動能力、他者と異なる特徴を「理由」に「イジメる」のです。
そのため「理由」があれば「イジメ」ても構わないとする風潮が子供たちの間で広がっています。
これらの構造…どこかで見覚えがありませんか?
そう「マスコミ」です。
不倫した芸能人を記者が囲んで質問攻めにする光景をテレビ越しに子供たちは目にします。
「理由」があれば「責任」を追求しても構わないとする世論(マスコミ)が、子供たちに「イジメ」を覚えさせるのです。

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