警察官の職場がブラックである理由‐残業代は出ないのか?タダ働きが多くて休日が少ない⁉働き方について元警察官が徹底的に暴露します。

警察関係
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警察官の職場環境について、実際に警視庁で働いてきた人々の意見(口コミ)を見ていきましょう。
以下の統計は《社員クチコミを見てから求人応募できる転職サイト「OpenWork(オープンワーク)」》を参考にした統計です。

この統計は、約300人の警視庁元警察官(現職含)が回答した結果です。
もちろん、虚偽の投稿やそもそも警察官ではない人物が冷やかしで回答した内容も含まれているでしょう。
しかし、統計の母数が多いことから凡その内容は参考にしても問題はないかと思います。

 
 

オープンワーク総合スコアだと警視庁は「3.16(5点満点中)」なので、日本の職場環境では上位「15%」に入ります。なので警視庁は「ホワイト企業」なんだろうな。。。

統計として見ると警視庁の職場環境良好のようです。
しかし、この統計結果には大きな誤りがあります。
それはこんなに警視庁の評価が高いわけはないからです。
筆者は実際に警察官として働いていました。そして、民間企業でも働いています。
なので、断言できます。
それでは、警視庁の評価が高い理由とは。
その理由は、警視庁で働いていた人物が口コミを投稿するタイミングにあります。
オープンワークなどの口コミを投稿できるサイトは求人紹介を生業としてしているため、必然的に企業の口コミを投稿するタイミングが求職中、つまり、退職を検討している段階もしくは退職後直ぐということになります。
なので、警察官としての経験しかない人物が口コミを投稿しているので、比較対象が少ないことから警視庁の評価が高くなるのです。
特に警察組織は閉鎖的な環境です。また、新卒採用による一括した雇用が中心のため「警察官としての働き方しか知らない」状態が加速するのです。
筆者も、警視庁を退職後にオープンワークに口コミを投稿しましたが、その総合的な評価は高いものでした。
それでは、尊宅なしに警視庁の評価を査定してみましょう。
以下の評価は筆者の感覚から査定したものです。

これは、筆者が考える警視庁の評価です。
一般的な企業と比較しても相当労働環境は悪いように感じます。
この評価は筆者の主観が介在する余地を排除しきれないことは事実ではありますが、それでも複数の労働環境を経験した客観的な知見から評価をしました。
それでは、それぞれの評価について解説します。

待遇面の満足度

ここで言う待遇とは、給与福利厚生など経済的な観点を指します。
まず、警察官の給与は高い水準なのでしょうか。
答えは「極めて高い」と言えます。
平均的な社会人と比較した場合、その経済的な「恩恵は倍近い」と言っても過言ではありません。
警察官は「サービス労働」(タダ働き)など、勤務時間外においても業務を強要されます。
しかし、そのような弊害を加味しても給料の水準は高いと言えます。
そのため、警察官と同等の給料を支給される職場は極めて少ないのです。

筆者
筆者

大手の一流企業と比較しても警察官の給料は引けを取りません。さらに、令和7年度から警視庁の給料が大幅に上がります。なんと、初任給が30万円を超えるのです。警察官の給与について、詳細は下の記事で解説します。

さらに、警察官は公務員です。
そのため、給料の支給が安定しています。
業績が悪いから給料が下がるなんてこともありません。
なので、生涯におけるライフプランも立てやすく、また、社会的な信用と経済的な安定性から住宅ローンなどの審査が例え高額であっても審査が通ります。
これらが、待遇面の満足度が高い理由です。
他にも福利厚生が充実しています。
結婚しても家族住宅で生活できますし、各種保険や資産形成の制度もあります。

警視庁職員信用組合警視庁職員のための金融機関として警視庁職員信用組合があり、「住宅資金」「教育資金」などの融資や、有利な金利の財形預金を中心とした各種預金を利用することにより、堅実な生活設計が立てられます。
共済・団体保険仕事中や日常生活におけるけがや病気に備え、割安な掛金で大きな保障が受けられる生命保険、医療保険、傷害保険、損害保険、傷病共済、火災・災害共済などの相互援助制度や団体保険制度を利用することができます。
財形年金共済財形年金貯蓄制度である「財形年金共済」は在職時から積み立てられ、利子や年金も非課税で受け取ることができます。
ゆとり保険会社と拠出型企業年金契約を結び運営される「ゆとり」では、公的年金にプラスして在職時から給与天引きで老後に備えて積み立てることができます。将来ゆとりある生活を送るための年金制度です
健康管理東京警察病院 ‐ 職域病院として優れた医療スタッフと最新医療設備の整った東京警察病院(中野区)があり、職員や家族の健康を守っています。
退職金・年金退職時の給料月額や勤続年数などを基に退職金が算出され、支給されます。退職後、原則65歳に達した時から年金が支給されます。
資格取得支援「仕事に役立つ資格を取得したい」「大型特殊、小型船舶、大型自動車の免許を取得したい」など、自己啓発をサポートすることを目的とした資格取得支援をしており、提携する資格学校、語学学校、自動車教習所などを割引価格で利用することができます。
単身寮警察学校を卒業後、警察官は配属先の警察署に近接した単身寮に入寮します。快適な生活を過ごせるように部屋や共有部分の整備をしています。女性専用の単身寮も都内各地にあります。
福利厚生施設各種レジャー施設や飲食店などを割引価格で利用できます。また、皇居のほとりに立つ警察共済組合直営の「ホテルグランドアーク半蔵門」での結婚式や宿泊、各種パーティーなどを格安な組合員料金で使用できるほか、直営保養施設の「シャレー奥多摩」を格安で利用できます。その他、全国に100以上ある宿泊施設も割引価格で利用することができます。
警視庁ホームページから引用「ライフ&キャリアサポート | ワークライフバランス | 令和6年度警視庁採用サイト
  
  

福利厚生が充実していることは分かったけど、本当にこれらの制度を活用できるの? 

筆者
筆者

そこを「ぶっちゃける」のが本記事の趣旨です。

警視庁職員信用組合財形預金を強要される。さらに、貯金額や資産について年二回申告が必要。自分自身で資産形成(NISA等の投資)ができる人物からしたら機会損失になる。
共済・団体保険活用できる制度です。
財形年金共済財形年金共済の加入を強要される。自分自身で資産形成(NISA等の投資)ができる人物からしたら機会損失になる。
ゆとりゆとりの加入については完全に任意。
健康管理東京警察病院 ‐ かかりつけの病院で十分です。さらに、一般の方も利用する病院のため警察官が外来で受診すると長時間待たされることも。警察関係者のための病院なのですが一般人が優先されることがしばしば。
退職金・年金活用できる制度です。
資格取得支援×極一部の人物のみが活用できる制度です。大型免許は機動隊に入隊すると比較的容易に取らせてくれます。他の資格や研修(語学など)については応募の難易度や選考倍率が極めて高い。
単身寮単身寮の居住は強制です。仲間とワイワイしたい人物であれば楽しいでしょう。しかし、プライベートの時間などを大切にしたい人物からすれば地獄です。
福利厚生施設×使いません。そもそも、値段が高い施設が多いことから割安感は少なめ。
警視庁ホームページから引用「ライフ&キャリアサポート | ワークライフバランス | 令和6年度警視庁採用サイト

福利厚生について、実際のところは「活用できる制度」もあれば「ありがた迷惑な制度」もあります。
これは、筆者が退職を決意した理由の一つでもあります。
筆者は警視庁に入庁以前から資産形成として投資をしていました。
そのため、本業収入のほかに副収入として不労所得を得ていました。
しかし、警察官になると「資産形成」の「し」すら分からないような老害上司から「投資は危ない。警視庁の資産形成制度を利用しろ」など、昭和的な価値観を押し付けられました。
少なからず警察組織には、このような「貯金することが全てである」など前時代的な考えを持った人物が一定数存在します。そして、そんな考え方の上司にも逆らえないのが警察の職場環境です。
警察官になると、お金、趣味、交友関係、これらを管理されて、なおかつ、それが「ありがたい」ことであると思い込まなければなりません。
警察組織は、そこで働く一人一人を必要以上に束縛して「こんな面倒見がいい職場は他にない」と主義主張を押し付けてくる環境本当に気持ちが悪いです。
しかし、資産形成については「警察組織の言うこと」を素直に聞いていれば、財形預金、財形年金共済、ゆとりなど、これら制度を活用することで「他の金融機関に資産を入れておく」ことに比べたら高いパフォーマンスが得られることは間違いはありません。ですが、それ以上の資産形成ができる場合には機会損失を招くため、警察組織の在り方に不満を抱くことになるのです。

社員の士気・相互理解・風通しの良さ

警察組織の士気は非常に高いです。
警視庁で働く警察職員のほとんどが「誇りと使命感」を持ち「日本を良くしていこう」との意識のもとで職務に励んでいます。
筆者は警視庁に入庁する前までは、ドラマや映画の影響もあり、少なからず「警察の闇」など「汚い部分」があるのだと想像していましたが、実際にはそんなことはなく働くことができました。
そのため、警察官に憧れている人物からしたら、警察官になることでその期待が裏切られることはありません。
しかし、そこが警察の労働環境が悪いと言われる所以でもあります。
現場の警察官は与えられた職務に責任感を持っています。
そして、警視庁では人手不足が慢性化しています。
となると、必然的に仕事の量が増えて処理できなくなります。
筆者は複数の警察署での勤務経験がありますが、そこでは勤務時間である8時30分よりも遥かに早い6時頃に出勤している刑事の姿を見てきました。もちろん、警察にはタイムカードなんて機械はありませんから無給の奉仕です。
これは刑事などに限らず、地域課の警察官(交番やパトカー乗務員)も同様です。
筆者は地域課で勤務をしてきましたが、そこでは、休憩時間を返上して仕事をしていました。
もちろん、勤務表(勤務を記録するためのシステム)上では休憩時間として記録されているので、無給の奉仕です(取らなければならない休憩時間数が定められているので、休憩していなくても休憩を取得したことにされる)。
そこで、上司に規定の休憩が取得できない旨を申告すると「休憩は取らなければならないわけではない。勤務表で休憩したことにすれば問題ない。」と指摘されるのみ。
ここで「おかしい」と主張するものなら「休憩しないことは任意だから強制はしないけど、なんでそんなにやる気がないのかな」と説教。
警視庁で務める職員は、仕事に対する責任感が高く「やる気」がある職員が多いのですが、これら「士気が高い」とは、その規範を他者に押し付け強要する環境でもあります。
仕事をする上で「やる気」があることは「良いこと」です。
しかし、本来であれば「やる気」とは「仕事の範疇」で「発揮」されなければなりません。
なぜなら、「やる気」を発揮できる状況を際限なく認めてしまえば、仕事とプライベートの境界が曖昧になるからです。
なので、勤務時間が9時から17時の職場環境があるのだとすれば、その期間に「やる気」を出せば良いのであり、職場から帰宅した深夜22時に「やる気」を発揮する必要はありません。
でなければ、労働者は際限なく資本家から搾取される歪な社会構造を容認することになります。
警察組織では、この労働者が「発揮してはならない状況」における「やる気」に依存しており「それによる労働」がなければ「機能しない」状態なのです。
もちろん、社会は綺麗事では回りません。
そのため、労働者が妥協(サービス残業とか)しなくてはならない場面は少なからず存在します。
しかし、それでも警察の職場環境は、働く職員の妥協(サービス労働・休憩返上など)に頼りすぎており、しいては「義務なきやる気」を強要される状況なのです。
警察における「士気が高い」とは、このような弊害を含みます。
相互理解については、全く感じられません
多様性とは真逆の風潮で、共通の価値観を押し付けてくる環境です。
物事に対して「AはBである」などの固定観念を前面に押し出してきます。
日々のコミュニケーションにおいても、プライベートに対して(私服について、趣味について、休日の過ごし方について)様々な口出しをされます。こればかりは「気持ちの悪さ」を通り越して●意すら湧きました。警察の職場環境では相互理解どころか人格否定をされます。なのに、これを「面倒見がいい」と思い込んでいる節がさらに「気持ちの悪さ」を加速させます。
しかし、その共通の輪に入れるような人物であれば、周囲から肯定されて自己肯定感に浸りながら日々を送れるでしょう。
風通しの良さについては、前述と同じく、その輪に入れるのであれば、そこには共通の価値観を抱いている人物が多数派のため相談など気軽にできます。
ですが、職場環境に不満がある場合や人間関係に悩みがある場合には相談ができる環境はありません。さらに、相談したとしても解決はしません。また、警察の職場環境では噂は直ぐに広まります。なので、余計に居心地が悪くなる場合も。
そのため、警察の職場環境において、お世辞にも「風通しが良い」とは言えないのです。

20代の成長環境・人材の長期育成

20代の成長環境については期待しないほうが良いでしょう。
その理由は、警察官の勤務を通して培われる技術や知識は警察の職場でしか活かせないからです。
これが、警察官からの転職が不利な理由でもあるのですが、その事情や詳細は以下の記事で紹介します。

人材の長期育成については、警察官として生涯を全うするのであれば手厚い人材育成の過程が準備されていると言えます。
筆者が、警視庁で働いていて驚いたことは「どんなに出来が悪い人材」であっても「見捨てずに教育する」点にあります。
警察官は公務員ですので安易に解雇することはできません。
なので、どんな人材でも「仕事を覚えさせる」必要があるため粘り強く教育をするのです。
また、警察官には到達目標(雇用後3年以内にAができるようにならないと解雇などの規定はない。※警察学校は除く)などが定められてないことから、どんなに仕事ができなくても長期的技術を磨いていける体制が整っています。

法令順守意識

警察は行政機関として法律を国民に遵守させなくてはなりません。
そのため、法の番人たる警察の規範意識が低ければ取り締まる立場としての面目が立ちません。
では、実際に警察内部の「法令順守意識」は高いのでしょうか。
その答えは「高くもあり、低くもある」です。

 
 

高い?低い?どっち。どういう事なの?

警察は常日頃から法律と向き合う職業です。
事件や事故、些細な取り扱いに至るまで法律が基礎となります。
なので、もし事件や事故を処理する手続きに法律上の不備がある場合は重大な問題につながります。
特に、人権を制約するとのできる逮捕行為をはじめとした有形力の行使には慎重にならざる負えません。
これら、警察の活動において「法令順守意識」が欠如している環境であれば「違法捜査」などがまかり通ってしまいます。
それでは、実際の警察活動における法執行は健全なものなのでしょうか。
答えは「極めて公平かつ平等、さらに慎重」であると言えます。
また、警察内部の自浄作用も適性に機能しており、不正や違法行為を行う隙もありません。
そのため、ドラマや映画などのイメージである「警察の闇」なんてものは感じませんでした。
筆者が「警察の回し者」だから「贔屓しているのではないか?」と思われるかも知れませんが、本記事を読めば筆者である私が「警察が嫌い」であることは理解できるはず。警視庁を退職するときは喧嘩別れをしましたし…その話は別の機会で語ろうと思います。
さて、事実として警察による法執行は健全であり、警視庁の各職員による法令順守意識は高いと言えます。

  
  

では、なぜ「法令順守意識」の項目を低い評価にしたの?

その理由は、労働環境に対する「法令順守意識」が低いからです。
なにも「法令順守意識」とは職務上における権限行使などに限定されるものではありません。
警察官は地方公務員です。
つまり、地方公務員法の適用を受けることになります。
雇用の責任がある警察組織が「タダ働きを黙認(ブラックな職場環境)」して、警察官である労働者の権利を蔑ろにする職場のどこに「法令順守意識」の高さがあるのでしょうか(※本記事次項【警察官はブラックなのか?】で解説)。

人事評価の適性感

人事評価の適性感は、いまいちであると言えます。
これは規模が大きい組織に共通して言えるのですが、異動や昇任を管轄する人事が職員一人一人に目を向けることは不可能だからです。
なので、本人の希望や適性に寄らずトップダウンで人事が決まることも多いのです。
他にも、警察官は階級社会であり、昇任には試験が必要です。
そのため、試験は得意だけど仕事ができない、試験は苦手だけど仕事はできるなど、適材適所の割り振りが滞っている場面が見受けられました。
そして、筆者が感じた「人事評価の一番の不信感」は「気に入られること」が挙げられます。
そもそも、人事におけるトピックは「昇任」「異動」が主な問題であると言えます。
警察において「昇任」は「試験」を受けて階級が上がるものですから、そのプロセスに不公平感はありません。
しかし、警察官における「異動」には「気に入られること」が重要です。
例えば、刑事になろうとしたら、まず刑事講習に進む必要があります。そして、その講習が終了した後に希望部署の空があれば晴れて刑事になれる仕組みです。
そして、最初の段階である刑事講習に参加するためにも署内選考があり、その講習が終了した後も希望部署で働くためには「お声を掛けられる」必要があります。これら、講習や希望部署から引っ張ってもらうための評価の基準は「気に入られること」です。
では「気に入られる」ためには。
それは「やる気」を見せることです。
【社員の士気・相互理解・風通しの良さ】で前述したように、勤務内で完結する「やる気」だけでなく「義務なきやる気」を評価する仕組みに適性感が低いのではないかと考えます。
筆者が警察官として勤務していた時代には、勤務時間前に志望部署の課長や課長代理の自席を布巾で拭き、お茶やコーヒーを出すという慣習がありました。他にも、飲み会には必ず付き添い接待をするなど、その代価に「志望する部署に入る」との職場環境でした。
もちろん、現在の警視庁では、このような昭和的な慣習は廃れつつありますが、それでも、希望する部署で働くためには、このような「気に入られる」過程が必要なのです。

筆者
筆者

本記事の結論。警察は「ブラック」です。

警察ブラックです。
そもそも、ブラック企業の特徴とは何を指すのでしょうか。
「ブラック企業」とは、労働者を劣悪な環境で働かせる企業を指す俗称です。
具体的には、残業代が出ない、長時間労働、休みにくい、ハラスメントがある、などが挙げられます。
では、警察の組織におけるブラック部分とは。
それは大きく分けて二つです。

価値観の押し付けと過度な制約

警察官は職務の性質上、日常生活においても制約が多く課せられます。
これは、警察官という職務の特殊性から許容しなくてはなりません。
具体的には、居住地、交際者、資産、旅行、などが制約の対象となります。
住宅については、購入やローン、賃貸、その全てにおいて決済が必要です。同じく自動車の購入やローンも同様です。
交際者については、警察の身内になるわけですから厳格な審査があり、許可が下りなければ別れるか退職するかの選択を強いられます。
資産に関しては、建前上は自由に扱えますが【警察官の職場評価は‐待遇面の満足度】後段で触れたように、とある制度の加入を強要される場合があります。投資などは副業に該当しないため、投資することに制限はありません。しかし、自己申告と呼ばれる上司との面談で貯金額や投資額、借金など、詳細に書類に記載しなくてはならず、投資などに理解がない上司の場合には貯金を強要されたりと自分の資産すらも自由にできません。
旅行なども、外泊を伴う場合には、その都度決済が必要となります。
ですが、これらの制約も警察官という職業柄致し方がないと言えます。
しかし、このようなプライベートに関しても仕事と距離感が近い環境である弊害として、対人関係における距離感の感覚が麻痺することで、まるで「家族」のように価値観を押し付けてくる人物が非常に多いのです。
休日にどんな洋服を着て、どこに買い物に出掛けて、何を食べるのか、これは個人の自由です。
しかし、なんでもかんでも口を挟みたがる輩が多いことで肩身が狭い環境でした。

警察官は「協調性」が求められ「群れ」で過ごすことが多いです。
なので「みんなが」していること、「みんなが」価値を見出していること、この「空気」を乱すことは御法度です。
ここで筆者の経験を紹介します。
筆者は職場の先輩から「休日に買い物にいかないか」と誘われました。
そこで、その誘いを断ると上司から呼び出されて「なんで断るんだよ。給料もらっているなら表面上くらいは付き合えよ」と説教。
他にも「群れ」特有の事あるごとにプレゼントを渡す文化を強要されて、多額のカンパを渡したりと、その「群れ」が「価値を見出す」主観を押し付け「義務なきこと」を強いる同調圧力には恐怖を感じました。
どうして「プライベートの時間を大切にしたい」「一人の時間が好きだ」このような主張が侵害されるのでしょうか。
もちろん、仕事なのですから、その「人間関係」を円満にする努力は必要です。
しかし、仕事のための手段として「人間関係」が内在するのですから、それは必然的に業務内に収束されて然るはずです。
本来であれば、業務上必要な事柄は「雇用側」が補填しなくてはなりません。
なぜなら、それは「仕事」に含まれるからです。
業務内に人間関係の構築ができないのであれば、そのツケを労働者の時間(勤務時間外・プライベートの時間)を制約して賄おうとする魂胆は極めて労働者に対する侮辱であると言えます。少なからず、人間関係の構築には「お金」が掛かる(飲み会など)のですが、そもそも、労働とは「金銭」を稼ぐための手段なのです。なのに「お金」を稼ぐ手段としての「労働」に「お金」を掛ける「矛盾」に疑問を呈さない現代の労働環境には憤りすら感じます。
このように、特に「警察」では「プライベートの時間」を「犠牲」にして「仕事」に尽くす場面が多いと言えるのです。

読者
読者

警察ではパワハラってあるの?

パワーハラスメントはあります。
しかし、最近は警察での「パワハラ」は減少傾向にあります。
その理由は、「パワハラ」を容認しているようでは「人手不足」が加速するからです。
そのため、警察の組織全体で「パワハラ」を減らそうとする動きがあります。
その具体的な施策として、本部の人事課に直通する相談窓口を設けたり、各警察署内にパワハラ相談員を配置したりと、様々な取り組みから「パワハラ」を防止する環境作りに力を入れているのです。
筆者が警視庁で勤務していた時代には「殴る蹴る」などの「パワハラ」は日常的なものでした。
ですが、現在では「パワハラ」が「懲戒処分」(※以前から懲戒処分の対象ではあるが黙認されてきた)の対象になることから「手を出される」ような「パワハラ」は少ないと言えます。
なので、現在の警視庁における「パワハラ」の内容は「叱責」や「陰湿なもの」「業務における不当な指示」などでしょう。
ここで注意事項として、警視庁において「パワハラ」が減少している職場環境であっても、他の一般的な職種とは「その限度や感覚」に乖離があります。
つまり、社会通念上「パワハラ」として認定される言動(一般的な企業ではパワハラとして処分される言動)でも「警察では問題がない」と判断される場面が多いのです。
これは、警察官という職務の特殊性から「仕方がない」と言えます。
例えば、人命を左右する現場で上司が部下に対して敬語で指示を出すなんて余裕はありませんし、なので、このような状況が多い職場環境では必然的に「パワハラとして認定」される言動の「ハードル」(限度)は高くなるのです。
そのため、警視庁は「パワハラ」が少ないとの理由で入庁を決意しても「その限度」の基準は、他の業界や業種とは「感覚」が全く異なるので注意が必要です。

サービス労働やプライベートの時間の拘束

警察の職場ブラックである一番の理由サービス労働が多いことです。
ここで言うサービス労働とは賃金が支払われることなく「働かさせられる」ことを指します。

筆者
筆者

まず、以下URLから警視庁のホームページをご覧ください。

筆者はこの内容を見て感銘を受けました
なぜなら、嘘偽りなく警察官の生活を紹介しているからです。
それと同時に「やはり警視庁は世間と感覚がズレている」とも感じました。
警視庁の初任給は令和7年度から上がります。
それは警察官の志願者の減少に伴う措置なのですが、そもそも、なぜ警察官の人気が落ちているのか根本的な原因を蔑ろにしている時点で解決はしないでしょう。
警察官の志願者が減少する理由は「警察がブラック体質」であるからです。
警視庁のホームページ【地域警察官の一日】を見てみると「8:30出勤」の前に「7:30早朝術科訓練」があります。
今のご時世誰が好き好んで出勤の一時間前に柔道や剣道を自主的にやるのでしょうか。
筆者は警察官でしたので、ぶちゃけますが「朝練」の参加は強制です、もちろん、形式的には正規の勤務ではない(サービス労働)ので、あくまで自主的(任意)に参加しているとの建前です。
そんなブラックな職場の環境隠しもせずキラキラして充実した生活」的な紹介をしていることが、世間とはズレており、人材が離れていくことにも納得な状態なのです。
この警視庁のホームページからも「ブラック企業」の特徴である「ブラック体質である認識がない」ことが伺えます。
さらに、ブラックな職場環境では、そこで働く労働者は洗脳されます。
なので、自分が置かれた状況に疑問を抱くことなくズルズルと沈んでいくのです。

警察組織
警察組織

警察はホワイトだよ。こんな面倒見がいい職場は他にないよ。他の会社のほうが大変だよ。転職したら絶対後悔するよ。他ではやっていけないよ。

若手
若手

確かに。僕は恵まれているんだ。働けることに感謝しないと。

なぜだかブラック企業で働く人々は自分が恵まれている洗脳されてしまう傾向があるのですが、そうでもしないと精神が保てないのでしょう。
そして、筆者も退職の意向を上司に告げると同じ内容を言われました。
さらに「なにが不満なんだよ」と。
不満しかないわバカが」と罵りたい気分で一杯でした。
それでは、警察官として「サービス労働」を強いられる場面について紹介します。

これら全て「ただ働き」です。

筆者
筆者

私は、こんな劣悪な職場を警察以外では経験したことはありません。

しかし、警視庁で働く職員の大半が「こんなホワイトな職場はない」と思い込んでいるのです。
確かに、収入など経済的な利点は「ブラック体質」を加味しても高い水準でしょう。
ですが、警察が「ブラック体質」である理由はサービス労働に限定されたものではありません。
具体的には、早朝術科訓練で怪我をしても「公務災害」に認定されないなど。
その理屈は「早朝術科訓練は正規の勤務ではなく自主的に参加したもの」であるため「公務中」ではないとのこと。
なので、早朝術科訓練で怪我をした場合には自費で病院に通い、その通院日は年次休暇を強制的に消費させられました。
ほかにも、仕事で必要な備品を休日に買い出しに行かされたりと。
これに対して異を唱えると「気が利かないな」と説教。
警察では、サービス労働を強要するだけではなく「価値観」すらも押し付けてきます。
術科検定に関して「休日に出勤することはおかしい」と告げると「お前がおかしい」と人格否定、さらに「検定を受けさせて下さい」と自発的に懇願するまで同調圧力により責められました。
これら、労働環境に疑問を抱き、上司に相談しても。

<span class="fz-12px">警察の考え方</span>
警察の考え方

その日、暇だよね。体力的には余裕あるでしょ。午前中だけだからよくない?

筆者が退職を決意した理由です。
価値観といいますか、考え方が根本から異なるのです。
労働者の時間を制約する理由として「時間が空いているから」とか「午前中だけ」なんて通用しませんよ。
その理屈が通用するならば「午前中だけだから遅刻も許してね」と言えてしまいます。
警視庁のホームページからも「なにを勘違い」したのか「雇ってあげる」旨の図々しさが感じられます。
でなければ、「サービス労働」を隠すこともせず「輝かしい生活」として紹介【本項前段記事の内容】したりはしないでしょう。
さらに、警察は個人の不正受給に対しては徹底的に糾弾するにも関わらず、職員には「タダ働き」を強要する自己中心的な体質から組織を維持運営しています。令和6年には「勤務時間を水増しして残業代である超過勤務手当32万円を不正に受給した疑いで警視庁下谷警察署の男性巡査長を書類送検」されました。警察は国民の税収で維持運営されていることから「不正な受給」は許されることではありません。
しかし、警察は「あれだけのタダ働きを職員に強要」している背景を踏まえると「上記事案が本当に不正受給であるのか」懐疑的に思えます。
少なからず、筆者は「32万円」を遥かに上回る労働について「タダ働き」を実際にしてきました。
警察では、そこで働く労働者の権利を蔑ろにして、さらに、その権利を侵害するような「労働者をなめ腐っている」ような組織です。

筆者の感覚として、警視庁の雰囲気は高い給料をお前なんかに出して雇ってあげているのだから多少のことは我慢しろよこんな職場環境です。
警察(雇主)と個々の職員(労働者)との関係が「平等」ではない事実からも、警察の「雇ってあげている」のだとする空気感がひしひしと伝わってきます。
警察官として働く上で、これら理不尽や不平等に疑問を持たず、共生できるのであれば、その環境は居心地の良いものとなるでしょう。
しかし、筆者のように、これら劣悪な労働環境に「不快感」を抱いてしまう人物は警察官の職場環境には適さないと思います。

筆者
筆者

警察官の勤務体系を紹介します。

本記事では警視庁での勤務体系について紹介します。
警視庁では地域警察官四部制内勤警察官(刑事など)は八部制を採用しています。
まず、交番勤務やパトカーに乗車する警察官は各警察署の地域課に席を置きます。この地域課で働く警察官の俗称として「地域警察官」と呼ぶのですが、警視庁では四部制、つまり、四日ごとのサイクルで勤務を担当しています。

24時間地域の安全を守るため、警視庁の地域警察官は4交替という勤務体制を取っています。第一当番(日勤)→第二当番(夜勤)→非番(夜勤明け)→週休(休み)のローテーションなので、しっかりと身体を休めながらメリハリのある生活を送ることができます。
(※警視庁ホームページ引用【地域警察官の一日ON&OFF | 職種紹介 | 令和7年度警視庁採用サイト】)

第一当番 【日勤】8時30分から17時15分まで 
第二当番 【夜勤】15時から翌日午前10時まで
非番 【夜勤明け】午前10時に勤務終了   
週休 【休日】休み
地域警察官の一日【第一当番】
  • 5時30分
    起床

    朝食・着替え

  • 6時45分
    出勤

    着替え・道場清掃

  • 7時0分
    ~30分
    術科訓練(朝錬)

    柔道・剣道開始

  • 8時0分
    勤務前準備

    朝練終了後、着替えを済ませ装備品の準備や書類の整理

  • 8時30分
    勤務開始

    指示・連絡・訓示後に交代開始

  • 9時0分
    交番到着

    引継ぎを済ませて交代完了
    交番勤務開始

  • 12時0分
    休憩

    昼食など

  • 15時30分
    交番勤務終了

    引継ぎを済ませてから帰署

  • 16時0分
    帰署

    各種引継ぎや書類整理・解散指示

  • 17時15分
    勤務終了

    着替えを済ませ帰寮(または帰宅)

地域警察官の一日【第二当番・非番】
  • 11時30分
    起床

    食事・着替え

  • 14時0分
    出勤

    着替え・勤務前準備
    着替えを済ませ装備品の準備や書類の整理

  • 15時0分
    勤務開始

    指示・連絡後に交代開始

  • 15時30分
    交番到着

    引継ぎを済ませて交代完了
    交番勤務開始

  • 19時0分
    休憩

    夜食など

  • 4時0分
    仮眠

    事件や事故など取り扱いがなければ仮眠ができます。
    基本的に「通報がない」なんてことはないので仮眠時間は削られます。

  • 7時0分
    起床

    仮眠後は起床

  • 9時0分
    交番勤務終了

    引継ぎを済ませてから帰署

  • 9時30分
    帰署

    各種引継ぎや書類整理・解散指示

  • 10時0分
    勤務終了

    着替えを済ませ帰寮(または帰宅)
    (※警視庁の場合「残業」はこの時間にすることが多い)

  • 10時30分
    帰寮・帰宅

    非番は疲労困憊状態。
    警視庁のホームページにあるような活動的なことはできない。

    睡眠

  • 翌日
    起床

    気が付けば翌日なんてことも。

地域警察官の勤務スケジュールは以上の通りです。
しかし、あくまで上記のスケジュールは「残業(超過勤務)」など、仕事がない状況に限ります。
超過勤務(残業)は警視庁では「非番(10時~)」に取り組むことが多く、実際に「10時」に帰宅できることは少ないのです。
さらに、地域課の警察官は事件や事故に対応することから「満足に休憩」が取れる保証はありません。
筆者の経験を交えると、第二当番において「全く休憩」が取れない状況も珍しくはありませんでした。
第二当番の14時に出勤して、不眠不休飯なし、仕事が終わるのが翌日午後15時なんてことも。
また、本記事前項【警察官はブラックなのか?】でも紹介しているように「勤務開始」以前は「出勤を強制」されているのにも関わらず手当の支給はありません(サービス労働)

筆者
筆者

警察官の残業時間について解説します。

警視庁の残業時間(超過勤務)について、信憑性が高い情報が見つからないため、筆者の経験から解説します。
ここでは、前項【警察官はブラックなのか?残業は?‐サービス労働やプライベートの時間の拘束】で解説した「サービス労働」は含まないこととします。
まず、地域警察官について。
平均残業時間15時間前後だと推測します。
事件や事故など取り扱いが多い所属(警察署)では30時間前後、取り扱いが少ない所属(警察署)では5時間前後でしょう。
そして、警視庁の慣習では書類作成などの残業は第二当番終了後である非番に取り組むのが通例です。
世間一般で月残業時間が「15時間」というのは「大変ではない」との印象がありますが、警察官の場合、一ヶ月に非番は約7回、つまり、第二当番が終了する午前10時から正午12時まで毎回残業(15時間÷7回=約2時間の残業)するという計算です。
疲労困憊状態である非番に残業する辛さは一般的な感覚では図ることはできません。
筆者は、民間企業での就労経験が豊富ですから断言しますが、警察官の残業15時間と、他企業の残業15時間とでは、その疲労の度合いが違うのです。
次に、刑事などの内勤を担当する警察官の残業時間を解説します。
警察組織において、一言に内勤と言っても様々な部署や部門があります。
代表的な部門は「刑事課」「生活安全課」「交通課」などです。
そのなかで、特に「刑事課」「残業」が多いように感じます。
最低でも「20時間」から「90時間超え」の残業時間です。
こればかりは、所属する部署や警察署の情勢により異なりますので一律に説明することはできません。
さらに「生活安全課」や「交通課」については「40時間」前後が平均的な残業時間であると推測します。

警視庁の休暇制度や年間休日について解説します。
まず、警視庁の年間休日は四部制である地域警察官と、八部制を採用する内勤の警察官とでは違いがあります。
地域警察官は四部制ですので勤務サイクルである4日のうち1日が休みです。
さらに、地域警察官は月に一度2連休があります。
なので、地域警察官の年間休日は「103日」となります。

 
 

休日少ないじゃん。ところで非番は「休み」ではないの?

「非番」を「半日の休日」として数えるのであれば、地域警察官の年間休日は「148日」になります。

 
 

年間休日が「148日」なんて最高じゃん。

世間一般では「警察官は休みが多い」と思われているようですが、確かに非番を休みに含むのであれば「休みが多い」のでしょう。
しかし、「非番」はあくまで「非番」です。
この感覚は、実際に「働いてみないと」分からないと思います。
「非番の辛さ」これは経験しなければ伝わりません。
非番は「夜勤明け」の状態ですので、帰宅したら泥のように眠ります
なので、休日のように「自由に時間を使える」状態では体力的にないのです。
非番に帰宅したら翌日の週休(休日)まで寝てしまう、こんな状態が非番です。

それでは、八部制を採用する内勤の警察官の年間休日数を見ていきましょう。
八部制では、8日に1日が「当番日」(泊りがある)です。
そして、当番日には代休が付与されます。
そのため、週休二日制、さらに、祝日は休み(当番の場合は代休)ですので、年間休日数は「110日から120日」となります。
警視庁では、通常の休日に加えて様々な休暇制度が整備されています。

夏季特別休暇・夏季休暇 (計12日) ‐夏季特別休暇 (5日) 
                  ‐夏季休暇 (7日) 
冬期休暇 (3日)
記念日休暇
永年勤続休暇‐勤続年数に応じた休暇制度
 
 

休みの制度が充実しているじゃん。

実際にこれらの制度を活用できるかどうかは別です。
筆者の経験を踏まえて説明します。
まず、夏季特別休暇 (5日) は取得できますが、夏季休暇 (7日)に関しては取得が難しい現状です。
次に、冬期休暇 (3日)についても取得は難しいと思います。
記念日休暇や永年勤続休暇は勤務情勢を配慮すれば取得は可能です。
筆者の経験から言うと「若手だから休みが取れないなんてことはありませんでした
なので、年次や階級に限らず「人手不足」が原因で一律に「休みが取りにくい」環境であると言えます。
もちろん、これらは所属する部署や警察署の情勢により異なります。

  
  

有給消化について知りたい。

まず、警視庁の有休制度について解説します。
そもそも、警視庁では有休とは呼ばず「年休」と言います。
意味は同じです。
警視庁に採用されると毎年「20日」「年休」が付与されます。
年休の上限が「40日」ですので、仮に年休を全て(40日)消化すると次年度の年休は「20日」です。また、年休を仮に「10日」消化すれば残年休は「30日」となり、次年度の年休は「40日」になります(※上限が40日なので50日にはならない)。
それでは、警視庁の平均年休消化日数を見ていきましょう。

平均年休取得日数 13日

警視庁の会社概要 | マイナビ2026から引用】
平均年休取得日数は「13日」です。
「あれ?意外と休みが多く取れる環境なんだ」と思いませんでしたか。
これ、実はカラクリがあります。
実際はこんなに年休の消化はできません。
筆者自身、年休の消化5~8日程度でした。
では、この統計は嘘なのでしょうか。
その答えは「本部職員」など一部の部署有休消化率を上げているからです。
そのため、警察署に配属される一般的な警察職員はここまで年休を消化することはできません

ワークライフバランス期待しないほうがいいと思います。
本記事でも紹介しているように「プライベート」の「時間」を犠牲にする状況が多々あります。
さらに、職務の特殊性から「プライベート」に関する事項(住居や家族、資産、旅行など)においても決済や申告が必要な場合があるので「プライベート」と「仕事」の「オンオフ」を切り離すことは不可能です(※詳細は「こちら」を参照)。
また、警視庁では、警察学校を卒業しても未婚者は単身寮に入居しなければなりません。
基本的に、所属移動が伴うまで(警視庁は5年ごとに移動)の満期5年間は単身寮での生活が必須です。
そもそも、警視庁の警察官が寮生活をすることには理由があります。
警視庁における単身寮の正式名称は「警備待機寮」です。
つまり、災害や大きな事件など、非常時に備えて即時に対応できる人材を確保することが目的です。
そのため、非常招集など勤務時間外に拘束される場合があります。

筆者
筆者

警視庁では非常招集の頻度は多くはなく、さらに、手当も支給されるので、私生活において大きな支障はありません。

筆者が経験した警備待機寮での「居心地の悪さ」とは、非常招集があることよりも「プライベート」が尊重されない環境にあります。
警備待機寮は一般的な社宅とは異なりプライバシーが確保されていません。
例えば、相部屋であるとか、トイレや風呂場が共用であることなど。
そのため、単身寮の生活では職場の先輩など、仕事の人間関係を切り離すことが難しいので「ワークライフバランス」を意識する余裕がないのです(※詳細は【以下記事】を参照)。
ちなみに、警備待機寮は任意での退寮は認められてはおらず、その方法は「結婚する」「昇任する」「満期移動」のいずれかです。

さらに、警察官が「ワークライフバランス」を取りにくい理由は「ブラック体質だから」や「寮生活だから」だけではありません。
それは「勤務体系」による制度的な観点を含みます。
地域警察官は四部制で、日程に透明性があるため比較的に予定が立てやすいと言えます。それでも、不規則な勤務から「家族」と「同じ」時間を共有することが難しいのです。
そして、内勤の警察官については八部制ですが、地域警察官に比べて残業時間が多く、さらに、担当する事件や事故を受け持つため「日程を仕事に合わせる必要」があります。刑事課の警察官であれば「仕事の相手は被疑者(または一般人)」です。なので「明日は家族と出掛けるから対応しません」なんてことは通用しません。それでも、ある程度の融通は仲間同士補い合うため、全く予定が立てられない状態にはありませんが、しかし、一般的な仕事に比べると「家族サービス」などに費やす時間も余裕もありません。

これから警察官になる「人たち」に「一言伝えさせてください
警察官という職業は「辛い」仕事です。
人により「何」が「辛い」と感じるのか、これには違いがあると思います。
「残業がキツイ」「人間関係が嫌だ」「タダ働きが気に入らない」「プライベートが充実しない」などなど。
しかし、筆者が警察官を「辞めた」理由は「体力的に限界が見えた」ことです。
もちろん、上記の理由も退職を後押しする動機ではあるのですが、それでも、警察官を続ける上での障壁は「体力的な辛さ」にあります。
警察官を「辞める」多くの人々は「体力的・体質的」な要因である「夜勤」など、勤務体系を理由として職を辞していきます。
ところで、日本の平均年収をご存じでしょうか。
国税庁の統計によると日本の平均給与は「460万円」だそうです。
警察官であれば、その日本の平均年収は、多くの場合で二年目で超えられる計算となります。
それを踏まえて、警察官が支給される給与、高いと思いますか。
こればかりは個人の感性ですので、どんな回答でも否定はしません。
しかし、筆者が警察官を辞めた理由は「高い給与」でも「割に合わない」と感じたからです。
人間には「睡眠」が不可欠です。
そして、警察官の仕事は拘束時間が長く「本来であれば寝ている時間に起きていなければならない」ことが多く生じます。
本記事(警察官の勤務体系・残業時間‐地域警察官の一日【第二当番・非番】)でも触れましたが、勤務の中で「仮眠」が取れるとは限りませんし、事故や事件の対応で「24時間以上の不眠不休」が強いられる状況は多々あります。
人間の生涯において睡眠が妨げられる環境がどれだけ「不健康」であるのか、その弊害は語らずしも明らかです。
さらに、警察官は職務の性質上、勤務地である警察署の付近に居住することができません(寮員は除く)。
また、自動車での出勤も禁止(警視庁のみ)されているため、公共交通機関に頼るしかありません。
となると、早朝術科訓練に参加できる時間に出勤するためには、配属場所によっては、朝5時前に起床しなければ間に合いません。
日勤では朝5時に起きる、そして、夜勤では仮眠が取れるか分からない、こんな不安定な生活を毎日、定年まで続けれれますか。
筆者には無理でした。
非番は頭痛に悩まされ、休日は寝て終わる日々、勤務では休憩が取れないことから疲労困憊、警察官の給与は高い水準にありますが、それは「自らの寿命」を縮める対価として支払われているのです。
この「高い給与」と「自らの命(健康)」を天秤で比べた結果として、筆者は「割に合わない」と判断したのです。

筆者
筆者

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