「高卒」と「大卒」どちらがいいのか?

本記事の結論は「大卒」で「警察官になるほうがいい」です。
結論として「大卒で採用」されることを勧めます。
その理由として「高卒で採用されること」と「大卒で採用されること」を比べると「高卒で採用されるメリット」がないからです。

インターネットやSNSで調べると「高卒で働くメリットもある」って紹介されているよ。
確かに、高卒で働くことのメリットとして各種媒体では様々な利点が取り上げられています。
具体的には以下の通りです。
・大卒と比べて4年早く社会人として多くの経験を積める
・4年間分の収入が大卒者より多く得られる
・早い段階で警察官になれる
などが高卒のメリットとして一般的には紹介されています。
しかし、実際には「高卒で働くことのメリット」は少ないことが実情です。
まず、「社会人として多くの経験を積める」とありますが「大卒よりも早く社会に出ること」のメリットは何でしょうか。
筆者の知る限りメリットはほとんどありません。
社会人として働く目的は「生計を立てる(稼ぐ)」ことであり、その手段として「経験を早く積める」ことは目的には合致しないのです。
「経験を積む」ことが目的であれば構いませんが、その経験を積んだことで「何に」なるのでしょうか。
仮に大卒よりも多くの経験を積んだとしても目的としての「稼ぐ」に結びつかなければ、その手段の合理性は破綻します。経験を重ねて「成長」したとしても、その過程は自己完結する事象に留まり、社会とは常に外的要因から評価されることから、その対外的な構造や事象に基準を適応させなければ意味はありません。
もちろん、業種のなかには早期に経験を重ねることで将来のキャリアを有利に進められる状況も存在します。
しかし、警察官などの公務員はその限りではありません。
他にも、大卒者より早期に社会に出ることでその間の「収入を多く得られる」ともありますが、日本の生涯収入を学歴別に比較すると、仮に奨学金を借りている場合でも大卒者がコストパフォーマンスに優れています。
なかには「早い段階で警察官になれる」ことが「高卒のメリット」であると説明する媒体も見かけます。おそらく、早期に警察官として採用されることで期別(警察学校に入校する時期)が古く、後輩が多く作れるとの旨でしょう。ですが、これに関しては意味が不明です。警察官に限らず、社会人になるまでの過程(大学や高校)で費やした時間に関係なく、入社や入庁してから、例えば「1年経過」した場合には、そこに大卒や高卒の区分に影響はなく「その1年で」「同じ分の後輩や人間関係」が構築されます。もちろん、これらの主張としては「4年早く警察官になることで、同年代の大卒者と比べて4年分の後輩を作ることができる」との意味でしょうけど、それは「4年分」の労働を得た対価として生じる結果であり、これは個々の体感する時間(実際に経過した時間)に由来することから、当の本人からしたら採用区分(大卒と高卒)に関わらず「1年間の経過時間に伴う後輩の出現率」には違いはありません。また、早期に警察官になることで「若い時間」を「有効に使える」との記事も拝見したことがありますが、全くもって適当な内容です。「若いこと」から「転職」や「キャリアの見直し」に有利であると主張したいのでしょうけど、それは真逆な結果を生じさせます。
それでは、世間ではどうして「高卒で働くことにもメリットがある」との説明をしているのでしょうか。
それは「高卒者への配慮」や「非難を回避する」ためです。
社会には「頭が悪い人間」が一定数生息している背景から「事実」を列挙するだけでも「敵を作る」ことにつながります。
そのため、現代の情報社会では事実とは歪曲した表現や綺麗事が巷に溢れているのです。

筆者は高卒を批判したいのではなく、事実から正しい認知を持って欲しいだけなのです。
そもそも、警察官の採用に関わらず「高卒VS大卒」の論争は勝負にすらならず結論は付いているのです。
大学進学に莫大な資金と時間を投じて大学卒業資格を取るのですから、制度や社会の構造として「大卒」が資本という名のコストの回収にレバレッジを掛けられる仕組みは当然なのです。
本記事の趣旨から逸れるので「高卒VS大卒」の詳細は以下の記事を参照してください。

筆者が「高卒で警察官になることを勧めない最大の理由」は「転職できない」ことにあります。
こればかりは、高卒で警察官として採用されることの大きなデメリットです。
就職活動では高卒者は大卒者に比べて大きな「ハンデ」があります。
筆者は実際に何度も転職の経験がありますが、大手企業や平均以上の対偶での雇用を検討する場合には、募集要項で「大卒以上」の求人が大半です。
さらに、警察官は転職活動で大卒や高卒を問わず苦労します。
筆者も「警察官からの転職」が一番苦労しました。
その理由として「警察官の経験は警察の仕事でしか役に立たない」からです。
そのため、警察官の転職は「現場仕事」「ドライバー」「営業」「警備員」が大多数を占めます。
また、警察官の給与水準は世間一般と比較すると非常に高く、同じ待遇で転職を行うことは極めて困難です。
このような状況で「高卒」「警察官」が転職活動を行うことの難易度を踏まえると「リスクヘッジ」のために「大卒」として警察官になることを強く勧めます。

「警察官になりたい気持ちが強い」から採用されたら絶対に辞めないから心配しなくてもいいや。
安易な考えは捨てましょう。
仕事とは「実際にやってみなければ」その適性は分かりません。
「仕事を実際にやってみても相性が分からない」ことも多くあるのですから、なおのこと「やる前」から「続けられるかどうか」の判断は絶対にできません。
また、仕事の適性とは「気持ち」も重要ですが「できる」「できない」の素養や能力的な要素も重要です。
「やりたい仕事」でも「できない」ことであれば「次第に気持ち」も離れていきます。
筆者の経験を挙げると、警察学校に同期で入校した「K巡査」は「警察官になるために試験に有利な大学を選び」「大学四年間も警察官になることだけを考えて」きました。しかし、実際に警察官に採用されて警察学校に入校すると「3日」で自主退職しました。これは作り話ではなく事実です。
そのため、安易に「警察官として定年まで働く」予想はせずに「転職」を踏まえた選択を行いましょう。

昇任や給与の違い
警察官は「大卒」である「Ⅰ類」と「高卒」の「Ⅲ類」とでは採用後のキャリアや対偶に違いがあります。
まず、初任給については「Ⅰ類」が「321,900円」、「Ⅲ類」が「279,400円」です。
その後も、給与については「Ⅰ類」が若干の高水準で推移します。
しかし、平均すると大卒者が警察官として採用されるタイミングと高卒者が採用四年後に支給される給与の水準は「とんとん」くらいに落ち着いていきます。ですが、警察官は階級社会であるため昇給に有利な大卒者が結果的には収入が高く生涯賃金には差が生じます。
警察官の給与など「お金の事情」は以下の記事で詳細に説明しています。

大卒と高卒では昇任するスピードにも違いがあります。
まず、警察組織は昇任試験に合格すると階級が上がる仕組みです。
その昇任試験を受験できる実務年数(資格)が「大卒」と「高卒」では異なるのです。
警察の階級制度では巡査、巡査長、巡査部長、警部補・・・と続きますが、巡査長だけは正式な階級ではない(法律に基づかず組織内の規定で存在する階級)ことから昇任試験がありません。そのため、巡査、巡査長までは自動で階級が昇級します。しかし、巡査部長を含む以後の階級は都度に昇任試験があります。
大卒では「巡査長」の任命は「約2年」です。高卒では「約5年」です。これと同様に巡査部長の昇任試験を受験できる資格も、大卒では「約2年」、高卒は「約5年」です。そのため、大卒の場合は「巡査長」になるほぼ同時期に「巡査部長」の昇任試験を受験できるのです。
その後、警部補昇任試験の受験資格に関しては「巡査部長」に昇任してからの実務年数が大卒では「約2年」、高卒は「約4年」です。さらに、警部昇任試験は採用区分に関わらず「警部補」に昇任してからの実務年数が「約4年」となっています。
そして、高卒の場合には過去の状況から「警視正」より高い階級には昇任できないと言われています。
これは、規定や法律に根拠があるものではなく慣習に由来しています。
キャリアや進路など
警察官に採用されてから「高卒」であることを理由に仕事やキャリアパスで大きなデメリットになることはありません。
もちろん、給与や昇任するタイミングなどでは少なからず不利益を被りますが、それ以外の項目に関して、職場の環境(評価や風当たり)なども含めて、仕事や現場に立てば一人の警察官なのですから、そこに「大卒」も「高卒」もありません。
筆者の警察官時代の経験を振り返っても、学歴による不当な扱いや「こいつは高卒だから」などのモラハラ・パワハラは見たり聞いたりしたことは一切ないので、その点については安心してください。
警察官としてのキャリアパス(「刑事になりたい」など)に関しても、警視庁では人事部の裁量で「高卒」と「大卒」等しく機会を用意しているように感じられます。「高卒だから」「大卒だから」これを理由に「志望する部署や仕事」に「なりやすい」「なりにくい」などはありません。もちろん、階級の上限(前項で解説)から、例えば「警視総監になりたい」などを叶えることは無謀です(※キャリア採用でないと警視総監にはなれない)。
強いて「高卒」の「デメリット」を挙げるのであれば、警察学校での研修期間が高卒は「10ヵ月」であることでしょう(大卒は6ヵ月)。

仕事では高卒も大卒も関係ない。
ここからは筆者の経験談ですが、個人的に高卒の警察官が「居心地悪くしているのだろうな」と感じた場面を紹介します(※筆者はⅠ類採用)。
警察署に配属すると原則5年間は所属の変更がありません。
そのため、高卒で採用された先輩よりも大卒で採用された警察官のほうが早期に巡査長に昇級する場面が多々あります。このような状況では、警察内外の事例を問わず大卒採用の巡査長が「先輩」として対外的に見られることがあります。事件や事故の扱いで、捜査専務員(刑事や交通捜査員など)が、後輩の巡査長を「A班長~」(警察では巡査長を班長と呼ぶ)と呼び、先輩の巡査を「B!」と呼び捨てにしている場面もありました。
他にも、警視庁では実務2~3年で機動隊の招集(※巡査・巡査長で計3回の召集時期がある。通称「赤紙」と呼ばれている。希望の有無を記載して提出するのだが、その意見が反映されることは少なく、機動隊に招集されるか否かは運要素が大きい)があり、そこでは期別(警察学校の入校時期)よりも「機動隊の入隊時期」で上下関係が作り出されており、同一の入隊時期であれば必然的に巡査長が立場が上であると見られてしまいます。また、機動隊の「入隊時期が早い大卒の、警察学校の期別は浅い後輩(巡査長)」に「巡査」であることを理由に厳しくされることも(※本人は期別で先輩であることを知らないので悪気はない)。
しかし、これら「高卒の警察官」特有の苦難も「終われば笑い話」です。
採用試験の難易度

結論として「大卒」での試験が「難易度」が低いです。
警察官の採用試験では高卒と大卒の区分ごとに「Ⅰ類」と「Ⅲ類」の受験枠が設けられています。
そして、採用区分ごとに合格定員数が定められており、それに伴い「倍率」が異なることから難易度も変わります。
それでは、高卒と大卒の直近での倍率を比較していきましょう。
| 【試験年度】 | 【倍率(Ⅰ類男性)】 | 【倍率(Ⅲ類男性)】 |
| 令和5年 | 6.0倍 | 8.0倍 |
| 令和6年 | 3.7倍 | 5.5倍 |
| 令和7年 | 3.2倍 | 3.5倍 |
このように、試験の倍率から「大卒」のほうが「難易度」が低いと言えます。
警察官採用試験の難易度や倍率など、詳細の解説は以下の記事を参照してください。

警察学校の入校時期

以下の記事で警察学校の入校時期については解説します。

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