警察官の採用試験においてSNSの調査される範囲について不安な受験生は多いでしょう。
今回は身辺調査に関する内容、主に「SNS」について触れていきます。
そもそも、身辺調査とは受験者の身辺を警察が調査することを指します。
身辺とは、家族構成やその人物が属する環境(職場や学校)のことです。
もちろん、警察官採用試験の身辺調査では受験者本人の素行調査も兼ねています。
職場や学校、家族、親戚だけではなく、本人も身辺調査の対象になるのです。

身辺調査で探られる範囲についてお伝えします。
身辺調査の内容
インターネットの情報には、両親や友人更には学校の教職員を通じて受験者の素行に関する聞き取り調査があると掲載されている記事がありますが、これは誤りです。
学校や自宅又は近所に採用関係者が尋ねてくる、電話を通して受験者の人柄について聴取する、これらの情報は少なからず著者は聞いたことがありません。
そのため、受験者本人に関する素行調査は主に履歴書と面接で決まります。
他にも、受験者の個人情報は警察が組織内で蓄積する情報を照会するに留まりますので、他の機関(学校や他の行政機関)が保有する情報が採用に関する情報収集のために流出することはありません。
本人又は家族や親族に関する身辺調査のトピックは以下の記事で紹介していますので参考にして下さい。
採用試験におけるSNSの調査
警察官採用試験における受験者本人のSNSの調査に関する内容を解説します。
老若男女問わずトラブルの火種となる原因の多くにSNSが関係しています。
そのため、警察としては受験者のSNSを調査してトラブルを招く兆しのある人物を省きたいと考えています。
本記事では、警察がどれくらい本気で受験者のSNSを調査しているのかを解説します。
結論として、警察が本気を出せば受験者が利用するSNSのアカウントを特定して、これらの投稿を検閲することは可能です。
しかし、実際にはそこまでのことはしません。
それはなぜか。
その理由を説明します。
警視庁では二次試験で書類提出があります。
そこでは、SNSのアカウントについて記載項目があります。
ここでの疑問は二つです。
① 記載したアカウントは調べられるのか?
② アカウントが存在するけど申告しないとバレるのか?
まず最初の疑問ですが書類に記入したアカウントは調査されます。
当然です。
その際に過激なアカウント、さらに政治色が強いアカウント、警察官として相応しくないアカウントはアウトです。
次にアカウントが存在するけど申告しなかった場合です。
結論から言うとバレません。
しかし、実名でアカウントのユーザーネームが設定されている、または電話番号検索で検索される、これらは、受験者のアカウントであると特定される可能性がありますので注意が必要です。

SNSの機能である「連絡先を同期」「電話番号から友達を追加」「メールアドレスから友達を追加」これらの設定は必ず「OF」にしましょう。
では、なぜバレないのでしょうか。
前述したように警察が捜査すれば電話番号一つで受験者本人のアカウントを特定することができます。
TwitterやInstagram等では電話番号認証(またはメール認証)があります。
そして、警察官採用試験では事前書類に自局番号を記載しなければいけません。
つまり、携帯番号の登録や承認に用いたSNSのアカウントであるのであれば、個人とアカウントの紐付けは容易に行えます。
ですから、裏アカウントも特定されます。
けども、実際には特定はされません。
ここで著者の友人の話を例に挙げます。
著者の友人は警察官採用試験を受験しました。
その友人はTwitterとFacebookのアカウントを保有しています。
また、そのアカウントは携帯電話の番号を登録していました。
しかし、採用試験時の書類にはその旨を記載しませんでした。
その理由は、アダルトコンテンツを掲載したアカウントと右翼活動用(ネトウヨ)のアカウントだったからです。
そんなアカウントを申請しようものなら不合格は間違いなしです。
彼はアカウントを削除せずに、データが失われることを恐れてアカウントを存続させていました。
ですが、著者の友人は県警と警視庁を合格しています。
著者も同様です。
警視庁の採用試験時には、Twitterのアニメアカウント(オタク色強めのフォロワー1万人越えアカウント)を有していましたが合格しています(未申告)。

SNSのアカウントが調査されない理由とは。
その理由は、警察が採用試験のために、本人の同意なしに受験者の個人情報を調べることは違法だからです。
例えば、Twitterを鍵アカウントで運用していると仮定しましょう。
それを、警察が受験者のアカウントだと特定して内容を検閲する行為は通信の秘密を侵害する重大な違法行為です。
通信の秘密は憲法上の権利であり、国家を抑制する規定の根幹を成すものです。
法律の留保から令状というシステム(犯罪を犯したら裁判所が発行する令状で人権を制限するよ、通信の秘密も最低限であれば令状で制約可能だよ)で公権力による最低限の活動が人権保障の担保として確約された現代において、採用試験のために国民のプライバシー権を警察が侵害する等の必要最低限度を超えた権限の行使は絶対に認められません。
仮に違法な情報収集から受験者のアカウントを調査しているとしましょう。
SNSのアカウントを特定するためにはプロバイダに対して開示請求を申請するのですが、これら事業者がその申請に応じるメリットはありません。
なぜなら、事業者は顧客であるインターネット利用者の情報を開示することで自身の顧客である利用者からの信用を得られなくなるからです。
それは、警察がプロパイダに対して捜査関係事項照会書を提示しても応じませんし、通信の秘密に関する事項の公権力の介入は捜査手段問わず慎重にならざる負えません。
さらに、捜査とは異なる事項に対して捜査関係事項照会書を提示する行為は制度の趣旨に反します。
そのため、警察が受験者のアカウントを調べること(公開されていない情報)は違法性が指摘される可能性が高く、さらに、個人情報を管理する事業者が顧客の情報を開示する意味は少なく、特定する過程で警察とインターネット事業者のリスク(調べていることや開示したことがバレたらヤバい)は非常に高いと言えます。
とは言え、多くのトラブルの原因はSNSからなるものです。
採用することでリスクとなる人物、つまり、警察はSNSの使用に問題がある人物は早期に排斥したいと考えています。
これらを踏まえると、警察は何としてでも受験者のSNSに関する情報が欲しいはず。
ですから、グレーゾーン或いは違法な手段を用いて密かに受験者のSNSに関する調査をしているのかもしれません。
されど、著者の友人である「彼」は県警と警視庁に合格していました。
そこで、著者は実感しました。
警察は、法律が許す範囲で身辺調査を行なっているのだと。
もし、非合法な手段で身辺調査をしているのであれば著者もその友人も不合格であったはずです。
なので、SNSの調査は自己申告に委ねられているのです。
警察官はSNSの使用に制限はあるの?
警察官は、その職務の特殊性から「SNS」の扱いに関しても注意が必要です。
例えば「職務上知り得た情報を漏らすこと」は、地方公務員法における守秘義務違反に当たります。
ほかにも、警察官である身分(現職であること)を告げ、不特定多数が観覧する媒体に意見などを投稿する行為は「信用失墜行為」に当たる可能性から処分される場合もあります。
そのため、警察官は「SNS」(InstagramやTwitterなど)の利用に関しては注意が必要なのですが、警視庁の場合「特に規制」はなく、これら地方公務員法等に抵触しない範囲において利用が可能です。
その理由は、各警察職員の「SNS」利用に関して個別具体的に規制を加える根拠規定(法的根拠)がないことが挙げられます。
しかし、警察官の「SNS」利用に関して「例外」もあります。
それは「警察学校」です。警察学校では「SNS」の利用が禁止です。
具体的には「Instagram・Twitter・Line」などです。

警察学校では、連絡手段である「Line」も禁止です。警察学校でのSNS利用に関して法的な根拠はなく、あくまで内部規定(社内規則のようなもの)です。
そのため、警察学校を卒業すれば「SNS」を利用することができますが、それまでの間は禁止されるということです。
(※令和6年追記‐警視庁の警察学校では規則緩和に伴い「SNS」が解禁されました。課外や自由時間では「Line」や「Instagram」など、使用が可能です。)
コメント
コメント失礼致します。御友人の方はTwitter〔エロ垢、右翼垢〕に電話番号を関連づけさせても警察は調べ上げれなかったということでしょうか?
専門的な話にはなりますが、警察が民間の事業者(ツイッター等)が管理している情報を調べるためには、その事業者に対して捜査事項照会書を提示するのが通例です。そのため事件とは関係ない採用に関する情報を事業者から聞き出すことはできません。
御友人の方は警察官採用試験でメールアドレス、電話番号〔2つとも裏垢に利用しているもの〕を提示し裏垢の名前は記載しない場合の話ですが?
コメントが遅れて申し訳ございません。
その通りです。
そんなん調べられるわけないじゃんw